心と遺伝子について
当相談室の特徴の一つに『遺伝的気質分析』があります。
ご相談者の思考や感情の特性を科学的根拠に基づく方法で調査・分析・評価し、
生まれ持った特性に合わせたアプローチで抱えている悩みや問題を解決し、
さらには生まれ持った能力を活かすことで“なりたい自分”になるための
サポートをさせていただいております。
(詳細は2020年1月29日のブログ『遺伝的気質分析とは』をご参照ください)
今回は『心と遺伝子』についてお伝えしたいと思います。
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受け継がれる心の遺伝子
唐突ですが、あなたはお父さん似ですか?それともお母さん似ですか?
顔はお父さんで、体形はお母さんに似ているというように、
血縁関係のある人同士はどこかしら似ているのは当然であり、
それは遺伝子によるものだということもご存じでしょう。
さらに、年齢を重ねていくにつれて外見的なことだけでなく、考え方や感じ方も
似ていると気づくことがあります。
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私の父は職人でしたので、文字通り職人気質で、誰もが認める
“頑固者”でした。私はそんな父の融通が利かなくて自分の考えを押し通す
強引さが大嫌いで、父のようにだけはなりたくないと思ったものです。
ところが、数年前、その父が他界して葬儀の準備のことで母と意見が衝突し、
一歩も譲らない私の姿を見た叔父から「その頑固さはお父さん譲りだね」と
言われて大きなショックを受けました。
さらに「頑固はうちの家系だよ」、「お爺さんも相当な頑固者だった」などと、
頑固さの遺伝性を再確認させられてしまいました。
そして我が家の“頑固遺伝子”(勝手に命名)はこれから先も変化することなく
子供や孫に受け継がれ、“頑固者”を増殖させていくのかと思うと、
うれしいような悲しいような、なんとも言えない複雑な気分になりました。
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生き残るために変化する心の遺伝子
変えられないものの一つとして遺伝子のお話をしましょう。 ヤル気や根性
では変えられないと言った方が正しいかもしれません。
私たちが住むこの星、地球は46億年前に誕生したといわれています。
そして厳しい環境に耐え、生き残るためのさまざまな変化を繰り返してきました
私たちの命が途切れることなく今こうして存在しているのは、 遺伝子が
存在するために必要なものを必要とされる形に変化させてきたということです。
たとえば、人間の祖であるサルには尻尾がありますが、二足歩行が進行して
徐々に尻尾の必要性がなくなると、むしろ尻尾は邪魔なものになり退化して
いきました。言い換えれば必要なものだけが存在するということでしょう。
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それは姿かたちだけでなく、思考・感情・行動にも言えることです。
近年の脳科学の進歩で、それらは脳内ホルモン(神経伝達物質)の分泌と受容の
バランスで作られるということがわかってきました。
同時に遺伝的影響が大きいということも検証されています。
簡単に言えば、“頑固”のもとになる脳内ホルモンの分泌と受容に関係する
遺伝子が存在しているということです。
その“頑固遺伝子”も私からさかのぼって幾百年か幾千年前から確実に受け継がれ
てきたということになります。
さらに、私に存在する“頑固遺伝子”は今必要とされる“頑固”に変化した遺伝子
であり、父や祖父のそれと全く同じ“頑固”ではないように思います。
人によってはそれが優しさや厳しさ、あるいは攻撃性などといった特性(個性)
として表現されているのです。
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あなたの遺伝子は変化の結果
ある日のご相談者Nさん(男性)は障害者スポーツでパラリンピックにも
出場経験があるアスリートでした。彼は「弱気な性格を変えたい」と言います。
私は、これほどまでに鍛え上げられ、さらに障害をも克服して数々の試合を
勝ち抜いてきたアスリートから“弱気”という言葉が出ることに驚きました。
さっそく遺伝的気質を調べたところ 、 Nさんは不安気質の傾向が強く、
目で見て実際に確認できることに意識が向きやすいという特徴があります。
反対に、まだ見ぬ未来の姿や結果に意識を向けにくく、見えていないものには
より強い不安を感じ、その不安がさらなる不安を招くという悪循環に陥り
やすいということです。いわゆる取り越し苦労が多いタイプです。
したがって、ゴールや勝利をイメージするメンタルトレーニングは
向いていないことがわかりました。
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この遺伝的特徴を活かすには、今確実に確認できるスタートの集中力を
高めるトレーニンが有効ということになります。最高のスタートが切れれば
結果はおのずと後からついてくるということです。
Nさんのような特徴を私は『先行逃げ切り遺伝子』と呼んでいます。
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“必要”だから存在している遺伝子
Nさんには、 日常生活のあらゆる場面でスタートを意識するためのプログラムを
実践してもらいました。 起床時、着替えをする直前、食事の直前、
練習の直前、入浴の直前、就寝の直前というように何かを始める直前に意識を
集中させるためのトレーニングは、Nさんの期待通りの効果を示し、
翌年のパラリンピック日本代表選手に選出されました。
試合結果は、メダルに手は届きませんでしたが、Nさん自身は十分満足のいく
試合結果だったと言っていました。
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苦手を克服するために努力することは素晴らしいことです。
しかし生まれ持った遺伝的特性はヤル気や根性では変えられません。
むしろ生まれ持った能力として活かす方が何倍も大きな成果をもたらして
くれます。なぜなら、それは今を生きるために必要な形に変化し、
必要とされる遺伝子だからです。
「自分の性格が嫌い」、「性格を変えたい」、「自分が好きになれない」と言う
人は少なくありません。私のところにも多くのご相談者が来室します。
性格さえも遺伝子が作ると考えたら、あなたが嫌っているその性格も、
今を生き抜くために変化した、必要とされている性格であり、
それはとりもなおさずあなたが今必要とされている存在だということです。
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◆当相談室ではさまざまなお悩み・問題に応じております。
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