現代は、“ストレス社会”と言われています。

特に今年は“新型コロナウィルス”による自粛や生活様式の変容、

さらには仕事やお金に対する先行き不安など、これまでにない多くの

ストレスを抱えている人も少なくないでしょう。

一方で、同様のストレス下でも立ち直りが早かったり、さほどダメージを

受けない人、いわゆるストレスに強い人と、

深刻に受け止め、ときには不眠や食欲不振などの身体的症状にまで

及んでしまうというストレスに弱い人がいます。

では、この両者は何がどう違うのでしょうか?

ストレスホルモン分泌量の違い

さまざまなストレスを受けると、それに反応して副腎から“コルチゾール”が

分泌されます。コルチゾールは別名「ストレスホルモン」と呼ばれ、

本来はストレスから身体を守るための防衛ホルモンなのですが、

分泌量が多くなると胃痛や下痢(便秘)といった消化器症状や動悸・息切れなどの

循環器症状、さらには不安や憂鬱といった精神症状が強く出るようになります。

臨床検査的には、ストレスに強い人はコルチゾール値が低い傾向にあり、

ストレスに弱い人はその値が高い傾向にあることがわかっています。

コルチゾール分泌量の違いは、遺伝的要因・環境(生活習慣)的要因に

寄るところが大きいと言われています。

思考系脳領域の発達度の違い

脳は生命維持のために多くの役割を分担しています。

特に人の脳は大脳が大きく発達し、さらに脳の最前部にある前頭前野は

思考や意欲に関連する高度な脳機能を司どっています。

この部分が発達している人は、ストレスへの耐性が強く、少々のことでは

ヤル気が低下するようなことはなく、積極的に行動する傾向が高いことが

確認されています。

思考系の発達は情報収集能力と深い関係があります。

脳にとっての情報はいわゆるニュースではなく、視る・聴く・触れる

というような感覚器から受け取る刺激(情報)です。

いつも同じような生活スタイルは受け取る刺激が単調になりやすく、

思考系発達にはマイナスです。

日頃から、より多くのものを視て、聴いて、体験を重ねることで

思考系が発達し、さまざまなストレスを乗り越えるために必要な

新しい情報を積極的に受け入れて行動することが可能になります。

ちなみに、100歳以上の長寿者はもれなく前頭前野が発達しているという

ことが確認されています。

ストレスに強いことは長生きの秘訣なのかもしれませんね。

ストレスに強くなる方法

ストレス耐性と関与が深いホルモン、コルチゾールは早朝から分泌量が増加し、

夕方までにピークとなり、就寝は分泌が抑えられいます。

したがって、夜型の生活スタイルや睡眠不足はコルチゾールの分泌バランスを

乱す要因になります。

反対に、昼間は活動的に過ごし、夜にしっかり寝ている人はコルチゾールの

分泌周期が乱れることなく、さらに、就寝中に分泌される成長ホルモンによって

疲労した組織の回復を早めたり、精神を落ち着かせる作用のあるホルモン、

エンドルフィンの作用によってストレスが軽減されることが確認されています。

ストレスが溜まったなと感じたら、まずは早寝早起きが一番効果的です。

決め手は早寝早起き!

“親切”はストレスに効く!

ストレスに弱い人は対人関係がうまくいかない傾向があるようです。

ちょっとしたことでも繊細に受け止めてしまうのでとても傷つきやすく、

知らず知らずのうちに対人ストレスをため込んでしまいます。

しかし、ストレスに弱いことは必ずしも欠点ではありません。

ひとりでコツコツと積み上げていくような仕事や

自分自身の発想をマイペースで表現できるような環境が整えば、

能力を十分に発揮することは可能です。

その点では昨今の在宅ワークやリモートワークには向いていると言えます。

一方、ストレス軽減の作用が確認されているホルモンとして

“オキシトシン”が注目さてています。

オキシトシンは別名『思いやりホルモン』とも呼ばれ、

私たちが『愛情』を感じるときやあたたかい気持ちをやり取りするときなどに

多く分泌されることがわかっています。

さらに、オキシトシンは不安や恐れといった感情を抑えたり、

互いの感情を理解しやすくなるという働きも確認されています。

このオキシトシンを増やす方法として効果的なのが、

誰かの役に立つ、親切にすることです!

大袈裟に考える必要はありません。

たとえば、作業に追われている同僚を手伝うとか、

閉まりかけたエレベーターの扉を手で押さえてあげるとか、

荷物を持ってあげる、スーパーのレジで急いでいる人に順番を譲るなど、

「ありがとう」と言ってもらえるような“ 小さな親切 ”の積み重ねが

オキシトシンの分泌を促し、ストレス耐性を高めてくれます。

ありがりう!はこっちも嬉しい

親切は、受けた相手はもちろんですが、親切をしたこちらも嬉しく

なるものです。

「ありがとう」は互いの気持ちをあたたかくしてくれますから、

ストレスに弱く対人ストレスをため込みやすい人にとっては、

良好な人間関係を築くためにも有効だと言えます。

先行き不安でみんながストレスを抱えている今だからこそ、

ほんの小さな親切の積み重ねが、周囲を巻き込むほどの大きな効果を

もたらすのかもしれませんね。

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