気分転換やストレス発散の方法として音楽を聴く人も多いでしょう。

ストレス社会を反映してなのか、“癒しの音楽”とか“自律神経を整える曲”

なんていうタイトルのCDも売れているようです。

なぜ、音楽が効果的なのか? 音楽なら何でも癒しになるのか?…

心と音楽の関係やより効果的な聴き方など、

ちょっと違う角度からお伝えします。

心と聴覚の関係

通勤電車の車内やちょっとした空き時間に音楽を

聴いている人をよく見かけます。

また、オフィスや店舗でもBGMとして音楽を流したり、

仕事しながら、勉強しながらというように、

生活の中には意識するしないに関係なく、あらゆる場面に音楽があります。

それらの『音』をキャッチするのは耳、聴覚です。

人は、視覚から得る情報が80%以上なのに対して、聴覚情報は7%程度と

その割合は少ないのですが、聴覚はもっとも原始的な感覚器です。

胎児のときにすでに機能していて、お腹の赤ちゃんが母親の声や

血液が流れる音を聞いているなんて話を聞いたことがあるでしょう。

それだけ私たちの脳(心)は、早くから音に触れているということです。

さらに聴覚情報はイメージ力を高める働きがあります。

音楽は心のタイムマシン

副交感神経が優位に働いているときは、心拍数の変動も少なく

リラックス状態になります。

ストレスに関する研究では、音楽の周波数が自律神経に

及ぼす影響を検証した論文なども出ていますが、

ここでは『音楽と記憶』の関係をお話しましょう。

たとえば、街角でフッと聞こえてきた音楽で、幼い頃の思い出や

ほろ苦い恋愛、がむしゃらに頑張っていたあの時など、遠い昔の記憶が

よみがえることがありますね。

聴覚刺激はイメージ力を高めるのと同時に、体験をより色濃く記憶する

という働きがあります。

人は、辛さや苦しさに苛まれているときは、どうしてもその“感情”や

辛さのもとになる“出来事”に意識が集中してしまいます。

そこから距離をおくことができないので、ますます苦しくなります。

そんな時に、音楽を聴くことで過去の記憶がよみがえり、

その記憶を脳が鮮明に映像化(イメージ化)することで、

『今』から距離をおくことができます。

それは、過去にタイムスリップするかのように

一気に遠くへ意識を運んでくれるので、辛さや苦しいという感情からも

離れることができます。

さらに、音楽の曲調や歌詞に織り込まれるメッセージで、

「もう一度頑張ろう!」と前向きな気持ちになった経験もあるでしょう。

この時は、過去ではなく未来に向けてのイメージが膨らんでいる状態です。

音楽は、まるでタイムマシンのように過去にも未来にも意識を運び、

『今』から離れることで心を落ち着かせることができるので、

それを『癒し』として感じ取るのかもしれませんね

スッキリしたいときは泣ける曲♬

涙と心の関係は以前のブログでもお伝えしましたが(1月3日付けブログ)

涙と一緒にストレス物質を排泄することでスッキリ感を

得やすくなります。

思いっきり泣いたらスッキリしたという経験があるでしょう。

これは、泣いた後に、強い鎮静作用のある“エンドルフィン”という

神経伝達物質(脳内ホルモン)の分泌が増加することに

よるもので、適度な運動をした後に感じられるスッキリ感と

同じだと言われています。

一方、元気になりたいときは、アップテンポの曲調がお勧めですが、

バリバリに頑張っていた頃に聴いていた(流行っていてた)曲や、

何かを成し遂げた記憶(思い出)と結びつくような曲なら

より効果的です。

元気になる曲も泣ける曲と同様に、聴いている最中よりも

聴き終わった後、元の状態に戻る際に分泌量が増加する

“エンドルフィン”の作用によるもので、

無意識に抑圧された心のシコリを放出することでヤル気が復活します。

音楽は私たちの生活に多くの彩を与えてくれます。

悲しい時、寂しい時、楽しい時… 

さまざまなライフシーンで、音楽を上手に活用するのも、

ストレス社会を生き抜く方法の一つかもしれませんね。