幸せホルモン『オキシトシン』
オキシトシンは脳内ホルモンの一種で、出産に係わることから
「愛情ホルモン」や「思いやりホルモン」とも呼ばれます。
近年の研究では出産以外にも多くの作用が確認され、
特にメンタルヘルスの分野では注目されています

“親切”とオキシトシン
オキシトシンは分娩時に子宮の収縮を促したり、授乳を調整する働きが
よく知られていますが、“絆”を結ぶうえでも大きな役割を果たしている
ことがわかっています。それは母と子の間だけでなく、
父と子、兄弟同士、友人同士、さらには動物と人間の関係においても
同様の役割を果たしています。
たとえば、大袈裟なことではなくても、電車の席を譲ってもらったとか、
エレベーターのドアを抑えてくれたとか、誰かに親切にしてもらった
経験があるでしょう。そんなときは嬉しかったり、優しい気分になりますね。
まさにオキシトシンが分泌されたことによって生み出される感情です。
さらに、オキシトシンは親切にされた人だけでなく、親切をした人にも
分泌が促されることがわかっています。
形はどうあれ、オキシトシンが幸福感を高め、人との絆を深めるために
役立っているのは確かです。

“抗老化”とオキシトシン
一方では、オキシトシンの“アンチエイジング”効果が注目されています。
アメリカ、ユタ大学の研究によると、オキシトシンは老化の原因と
されている活性酸素による酸化ストレスを軽減し、動脈硬化を予防する
働きがあることがわかっています。
また、カルフォルニア大学バークレー校における研究では、
オキシトシンが不足すると筋細胞の活性が低下して筋肉が再生されず、
弱体化して老化が進むということが検証されています。
さらに、ハーバード大学で行われた実験では、マザー・テレサが親切な行動を
する50分間の映像を見た学生の唾液を分析した結果、免疫成分である
グロブリンA(s-lgA)の値が大幅に増加したことが確認されました。
これは、親切によって生じた感動(高揚感)がオキシトシンの分泌を促し、
加えて免疫系が反応した結果だと言われています。

“小さな親切”こそが幸せの種
「将来の結婚相手に何を望みますか」というアンケートで、
もっとも多いのが、“親切、優しさ”です。
これは、世界33か国の1万人以上を対象にした大規模調査でも同様の結果です。
国や言語、文化を越えて、例外なく“親切、優しさ”が1位ということは、
遺伝子レベルでオキシトシンの重要性を証明しているのかもしれません。
大事なことは、ほんの小さなことの積み重ねです。
・パートナーの「ちょっと聞いて(見て)…」を蔑ろにしない
・相手の話を聴く、褒める、励ます
・一緒にお茶や食事を楽しむ
・作業を手伝う
特別なことではありません。日常の極ありふれた当たり前のことを
繰り返し実行して積み重ねるだけです。
さあ! 今日も誰かをちょっとだけ喜ばせてあげましょう。
“小さな親切”が、あなたの心の中に幸せの種を蒔いてくれますよ。

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