コロナ禍でおうち時間が増え、料理を始めた人が増えたそうです。

“料理”は手間がかかる、面倒臭い、難しい…と考える人も少なくない中、

たっぷり時間がある今だからこそ、チャレンジするには良いきっかけ

なのかも知れませんね。

一方、“料理”は心理的にも多くの効果をもたらすことがわかっています。

今回はクッキング・セラピーについてお伝えしましょう。

精神的疲労からの回復や癒し効果

「料理を作る」という行動を通して、精神的疲労からの回復や癒し、

コミュニケーション力の向上、さらにはうつ病などのストレス障害からの

回復など、多くの効果が期待できるとして注目されているのが

『クッキング・セラピー』です。

 日本ではまだあまり耳にすることがない言葉ですが、

アメリカではホリスティック医療(統合医療)の分野を中心に伸展しています。

最近では医療分野だけでなく、子育てや教育分野でも料理の多角的効果を

目的とした教室や講座、イベントなどが盛んにおこなわれています。

料理は“ 人間だけ ”の高度な能力

普段、何気なくやっている料理ですが、これは人間だけができる

とてつもなく高度な能力です。他の動物は「食べる」とはしても、

「料理を作る」ことはしません。

料理は、人間が持つすべての能力を総動員して行う作業であり、

それは複雑で多岐に亘っているので脳への刺激(影響)も多大です。

 まず、何を作るか考え、材料は何か、買物は必要か、

何時までに作り上げるかなど、思考能力は全開になります。

さらに、出来上がりをイメージし、複数の品をタイミングよく仕上げるための

時間配分なども必要です。

 実際に作る作業は、調理器具(刃物や火器)を使うための運動機能

その上、ケガや火傷などを防ぐための安全意識も求められます。

食材の色や形を認識する視覚、味わう味覚、料理の香りを楽しむ嗅覚

噛み応えや舌ざわり、のど越しといった触覚、さらには焼いたり炒める音を

聞き取る聴覚など、すべての感覚器(五感)を総動員するのが料理です。

したがって、脳への刺激も多種多彩多様で、その結果としてのセラピー効果が

科学的に認められています。

効果はストレス解消だけじゃない!

 料理を作ることがストレス解消になるという経験をしている人は

少なくないでしょう。私自身もイヤな事や悲しい事があると

一心に餃子を作ったり、パンを焼いたり、鍋いっぱいの煮物を

作ったりします。

料理は余計なことを考えずに作ることに集中するので、

次第にストレスの基になってるネガティブな感情が整理されていくようです。

 また、料理にはストレス解消だけでなく、作り上げたことによる達成感

充実感自己肯定感を高めるという効果をもたらしてくれます。

 さらに、作った料理を一緒に食べることでコミュニケーション力

向上や良好な人間関係を築けるなど、多くの効果が期待できます。

クッキング・セラピーのポイント

 クッキング・セラピーの大切なポイントは、

特別な料理や難しい料理ではなくてイイということです。

料理が苦手、面倒臭いと思っている人にとっては、逆にストレスになりますね。

最初から“料理”ではなく、コーヒーやお茶を淹れることでも

セラピー効果は大です。

いつもなら自販機で買って済ませていたコーヒーを

たまにはお湯を沸かしてゆっくり淹れてみる…

袋から直接つまんでいたお菓子も、可愛い小皿に並べてみる…

こんなちょっとしたことから始めてみるのもいいかもしれません。

 ストレスを抱えると、どうしてもそのことに意識が集中して、

他の事に気持ちを切り替えることができなくなります。

すると、ますます気になってマイナスの感情に囚われてしまい、

負のスパイラルに陥ってしまいます。

ストレスの基からちょっと時間と距離をおくという意味でも

料理は想像以上に効果があります。

「料理を作る」とまではいかなくても、自分のために美味しいコーヒーや

お茶を淹れるだけでも気分は変わりますよ。

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