『発達障害』という言葉は知っていても、正しく理解している人は

少ないようです。言葉から受けるイメージが先行して、

“生きづらさ”を抱えている人が、より生きづらくならないように、

また、自身の特性を個性や能力として活かすためにも、

まずは正しく知ることが重要だと考えます。

発達障害にはいくつかのタイプがありますが、よく耳にするのは

ADHD(注意欠如多動性障害)とASD(自閉性スぺクトラム障害)です。

ADHD(注意欠如多動性障害)とは

 不注意・多動性・衝動性の3つが主な特性です。

子供の頃からその特性が現れていたはずですが、

常に動き回っていてじっとしていられない落ち着きのない子や、

忘れ物や失くし物が多い、ちょっとうっかりした子と思われるくらいで、

見逃されてしまうことが多いようです。

注意欠如多動性障害

 一方で、移動性の多動は大人になるにつれて目立たなくなる場合が多く、

その代わり、相手が口を挟む余裕もないほど一方的におしゃべりしたり、

声が大きく、静かに黙っていることができなど、口の多動(非移動性の多動)が

目立ってきます。

 さらに、仕事のうっかりミスが多かったり、やりっぱなし、片付けられない、

気が散りやすく人の話を聞いていないなど、不注意による特性によって

仕事に支障をきたすことも少なくありません。

 また、思いつきですぐに行動に移して失敗する、衝動買いをして後悔して

また買う、些細なことで口論するなど、我慢できないことでトラブルになり、

衝動性の高さが人間関係にも影響を及ぼします。

 特性の現れ方により、不注意優勢型、多動・衝動性優勢型、混合型の

3タイプに分かれます。

ASD(自閉性スペクトラム障害)とは

 以前は、アスペルガー障害の名称が使われていましたが、

自閉性障害や他の特性との連続性があることから、自閉性スぺクトラム障害の

名称が使われるようになりました。

ここではアスペルガー症候群についてお伝えします。

 ADHDと共通する特性がみられる一方で、社会性・コミュニケーション・

想像力などに問題が生じやいことがアスペルガー症候群の特性です。

 他人に対しての関心や仲間意識が低いので、人と親しくなろうとしません。

したがって、場の空気を読んだり、気遣いをするという発想もないので

孤立しやすく、たとえそうなってしまってもまったく気になりません。

 また、会話が一方的で、言葉のキャッチボールが成立しないので、

コミュニケーションの問題を抱える人が多くいます。

孤立しやすい

 さらに、自分が興味あることには強いこだわりを持っているので、

とことん追究しますが、想像力が乏しいので、新しいことに不安を感じたり、

急な予定変更や予期せぬことにはパニックになることもあります。

 ADHDと明らかに異なる特性は、感覚器に現れます。

食べ物の好き嫌いが多かったり、大きな音や特定の音を極度に嫌ったり、

人から触れられるのが苦手など、感覚器が敏感または鈍感なのも

アスペルガー症候群の特性と言えます。

 加えて、目と手、手と足などの協調運動に問題があり、手先を使う作業や、

字を書いたり、運動全般が苦手なのも特性として挙げられます。

もう一つの発達障害『LD(学習障害)』

聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの

学習基礎能力の中で、特定の能力の習得と使用に著しい困難を示すものを

『LD(学習障害)』といいます。

LD(学習障害)

 たとえば、漢字の偏とつくりが反対になったり、長い文章を読んだり

書いたりするのが苦手、本を読むのにひどく時間がかかる、

簡単な暗算ができないので、スーパーのレジで

おつりがわからないなど、ある特定の能力だけができないので、

努力不足、怠けていると誤解されることも少なくありません。

また、LD(学習障害)とADHD(注意欠如多動性障害)は

関係性が深く、50%以上は重複していると言われています。

まずは、気づいて向き合うことから…

 発達障害は、種類・タイプ・特性が多様で、個人差が大きく、

さらに、複数の特性を重複(併存)しているケースが目立ちます。

まずは、ご本人が生きづらさ(特性)に気づいて、正しく理解し

しっかり向き合うことから始めましょう。

その上で、発達障害だから仕方ないとあきらめるのではなく、

工夫と努力をすることが大切です。

個々の特性を克服し、うまく活かすためのトレーニングを受けることで、

良好な人間関係や豊かな人生を築くことは十分に可能です。

簡易基礎調査

当相談室では、発達障害の簡易基礎調査を行っております。

発達障害を診断するためのものではありませんが、

個々の能力の偏りや特性を調査・分析・評価し、

適切な対応策を実践することで、『生きづらさ』を解決していきます。

詳細については、お気軽にご相談、お問合せください。

次回は、具体的なトレーニング内容とサポートについてお伝えします。