『うつ病を理解する1』では、うつ病は脳の機能低下による病であり、

“心の病気”ではないことや、多くの種類があり、それぞれ特徴が異なるという

内容でお伝えしました。

今回は、「うつ病かな?」と気づいたらどうするかについてお伝えします

まずは生活リズムを整える!

“気分が落ち込む” “眠れない” “食欲がない” “ヤル気が起きない”…など

うつ病のは、普段、誰にでもよくある症状から始まります。

いつもとちょっと違う、心身の不調が続くと感じるときは、生活リズムを

見直してみましょう。

うつ病は起床や就寝、活動時間帯など基本的な生活リズムと密接に関係

しているので、生活リズムを意識的に整えるだけでも、初期の段階ならば

回復します。いつもより1時間早く寝て、1時間早く起きる、

食事は3食しっかり食べる、1日ゆっくり休むなどして

乱れたリズムを調整しましょう。

…とは言っても、すでに気分が落ち込んでいたら、それすらできないという

のが現実ですね。

ネット検索、自己診断は危険!

最近はネットで自分の症状を検索して自己診断する人が増えています。

当相談室をご利用のご相談者様の中にも

「ネットで調べたらうつ病でした」「私、絶対にうつ病だと思います」などと

言う人が少なくありません。

実は、これが危険です!

確かに、簡易的なチェックシートを利用して自分の症状を確かめることが

できるので便利ですが、うつ病の症状は他の病気でもありがちな症状なので、

仮に、別の病気が隠れていた場合、適切な医療を受けるべき機会を

逸してしいます。

また、一時的な疲労で疾病ではないのに、「うつ病だ!」と勝手に決めつけて

しまうことで、その後の仕事や生活に悪影響を及ぼしかねません。

心身の不調が2週間以上続くときは、まずは医療機関を受診しましょう

きちんとした診断を受けてこそ、適切な治療やその後の再発予防ができます。

医療の現状

“医療機関を受診しましょう”とは言いましたが、

現在、心療内科や精神科は予約が大変混み合っています。

初診までに1~2ヵ月待ちは当たり前、新患の受付を断ってる医院もあります

それだけ患者数が多いということですね。

その場合、かかりつけ医がある方はまずそちらで診てもらうといいでしょう。

日頃、風邪や体調不良の際に診てもらっている医療機関なら、

普段の様子や過去の経緯もわかりますので安心です。

かかりつけ医がない方は当相談室のような民間の機関に、

まずはご相談ください。医療機関ではないので検査や診断、薬の処方は

できませんが、心理的なアプローチでアドバイスをしてくれるでしょう

何より大事なことは、“ひとりで悩まない” “ひとりで抱え込まない”ことです

うつ病の治療

現在、うつ病は投薬による治療が中心です。

“薬”についてはネガティブなイメージをお持ちの方も少なくないと思いますが、

抗うつ薬や抗精神薬の研究・開発が進歩し、かつてのような副作用や依存性の

心配も軽減されています。医師の適切な指導のもとで服用することで、

安全で効果的な治療を受けることができます。

一方、薬物療法のみで治療した場合、回復までに平均で1年を要するという

データもあります。また、うつ病は再発率の高い疾病でもあります。

初めてうつ病になり回復後1年以内に再発する確率は50%、

さらに再々発は75%、3回発症した人が4回目を発症する確率は90%以上

という専門家の見解もあります。

したがって、うつ病は治療だけでなく再発予防がとても重要です。

そこで、心理療法を併用したり、治療後の再発予防として心理療法を継続する

ことが注目されています。

これまでは、カウンセリングを中心とした心理療法が一般的でしたが、

近年、より科学的で効果的な療法に進歩してきました。

実際に、心理療法とは何か?、どんなことをするのか?、効果は?……つづく

次回は、心理療法についてお伝えしましょう!